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事前に”家族信託”を知っていれば・・・
家族信託
2024年8月30日
事前に“家族信託”を知っていれば・・・
と思われてならないケースを見てみたいと思います。
後見人制度を利用したケース①
元気だった母親が認知症となり、母1人長女1人の親子2人の生活が一変、長女も働いていた仕事をやめて、介護生活一辺倒になり生活が激変した。
母親名義の年金の受け取り通帳の管理をし、不動産(住居宅・空き家宅)の管理維持雑費・税金等の支払いまたは、不動産(空き家宅)の売却について、当初は不動産業者も長女さんが出来るとのアドバイスもあり進めていた。
しかし、いざ不動産売却の直前になって、母親名義の不動産の売却には、「ご本人が承諾するか、母親の後見人となって承諾をして、進めないといけない」と、不動産業者が言い出し、結局家庭裁判所に、長女が母親の後見人に指定してくれるよう申請して、話を進めることになりました。
長女さんは「これで財産管理をスムーズにできるようになる」と安心していたところに、家庭裁判所からは、頼んでもいない弁護士を母親の後見人に指定してきました。このことで長女さんは思ってもみなかったトラブルを抱えることになりました。
母親の通帳からは、月に数万円位の生活費のみ後見人弁護士から渡されるだけで、長女からは生活費が足りない旨を申し出ても、増額の必要性がないと一蹴され、ちょっと心を満たす程度の豪華な食事や外泊などの遊興費を、母親のために使ってあげられない、生活費を切り詰めた生活の毎日が、日常的になりました。
不動産(空き家宅)の売却などで、生活費を賄う事を後見人弁護士に相談しても、ご本人の為に必要な不動産売却ではないと、話を取り合ってもらえず、すべてが八方塞がりのような状況で息が詰まりそうな毎日となりました。
後見人の指定につきましては家裁が、弁護士や司法書士、親族などの中から適切な管理者に決定を下す権限を持っておりますので、申請した家族が、後見人に指定されないことがあることは、致し方ないことではあります。たしかに傾向としては、弁護士や司法書士が、後見人に指定されることが多いようです。
上記の例では、法定後見人制度と呼ばれる分類になりますが、この制度を利用するときに、特段の説明を、不動産業者も家庭裁判所もしてくれるわけではない為、簡単に母親の代わりに財産管理をできると思って、家裁に母親の後見人の申請をしましたが、第三者の弁護士に財産管理を掌握される結果となってしまいました。
そのため年金の受け取り通帳から引き下ろせる金額は、すべて後見人弁護士の許可がないと、お金を下ろすことが出来ず、食費・電気ガス水道費・不動産維持管理雑費・税金など、母親と長女さんの分をすべて折半した生活費しか、後見人弁護士からは、給付されなくなってしまいます。(母親と長女の生活費の区分管理)
これは、後見人制度が、被後見人の生活に必要な費用しか捻出できず、被後見人本人の財産を守る為だけの制度であるためです。
仕事をやめて介護を続ける長女さんは、長女さん自身の預貯金が底をついたら、母親の受け取り年金通帳のお金を切り崩して、2人の生活費としていく事を考えておりましたが、長女さん自身の生活費は、どんなに苦しくても介護しながら、何とか自分自身で働いて、自分の分の生活費を、捻出しなければならなくなりました。(母親の財産からは、家族の生活費はもらえない。)
また、母親の通帳から10万円以上の費用を捻出する時、または不動産の売却には、家庭裁判所に、本人にとっての必要性を審査してもらい、許可をもらわないといけないという、使い勝手の難しいところがあります。
指定された後見人弁護士には、すくなくとも月額2万円~(年額24万円~)程度の報酬を、少ない年金収入から、この先ずっと支払い続けなくてはいけないという事もあります。
低所得者の方にとっては、この報酬の支払いは厳しいケースもあります。
それだからといって、「後見人制度の利用をやめたい」といっても、裁判官や複数の医師の立ち合いのもとに、認知症が完全に治ったと言える判断がされ、本人が「後見人制度をやめたい」との意思表示を示し、確認が取れれば、後見人制度の利用はやめることも出来ますが、しかし、現実的にそれは不可能に近いと言えます。
よって、一度利用し始めてしまったら、生涯にわたってこの後見人制度が続くことになります。
すべての第三者の後見人と親族の間の関係が、良好に築くことが出来ないわけではありませんが、母親と長女の目線に合わせた、自由な財産管理が出来ない点は、法定後見人制度の課題と思われます。
「母親の為に」とあれこれ費用を賄い、家族の希望を取り入れながら、スムーズに「母親の財産管理」をする為に、後見人制度では手の届かない柔軟な財産管理の部分を、“家族信託”ではサポートすることが出来る仕組みがあることを、是非みなさん知って頂きたいと思います。
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