空気調和について

清掃

2023年12月29日

前回は、環境衛生管理技術者について書きました。今回は、環境衛生管理技術者が管理しなければならない内容の一つである、空気環境についてご説明します。

空気環境とは、人が在室する室内の空気の状態をいいます。人が生命活動を継続する上で絶対に必要なのは酸素です。酸素以外に、その量が多くなることで健康に影響を及ぼす気体や物質が存在します。つまり、空気環境を調和することは、人にとって過ごしやすい環境を維持する事となります。

① 二酸化炭素濃度 100万分の1000以下(=1000 ppm以下)

二酸化炭素は、人間が呼吸をすることで生成されます。密閉空間に多くの人数が居ると、その室内の二酸化炭素濃度が高くなっていきます。二酸化炭素濃度が高くなると、息苦しさや頭痛などの症状が出て、健康に影響を及ぼす場合があります。これを防ぐには、新しい空気を取り入れて、室内の空気を外からに出す換気が必要となります。

②  気流 0.5 m/秒以下

二酸化炭素濃度を高くしない為には換気が必要です。その換気がしっかり行われているかどうかを示す目安となるものが気流です。

気流と書くとわかりにくいですが、気流とは風速を表します。換気がされていない室内では空気が動かずに滞留します。逆に換気がしっかりされている室内では、外に出ていく空気と入ってくる空気が存在する事で空気が動いています。この空気の動きが気流となります。

気流が高い場合は、不快な気流感を在室者に与えます。不快気流は、特に冷房において、足冷感や不快感の原因となります。換気量が多ければ新鮮な空気も増えますが、新鮮な空気とは外気(外の空気)でもあるので、温度や湿度などにも影響するので注意が必要です。

③  温度 18℃以上28℃以下

日本は四季があり、夏は気温が高く冬は低くなります。

換気とは外気を取り入れて室内の空気を外に出す作業となります。外気の取り入れを多くすると、室内空気の温度や湿度に影響があります。また外気温度とのバランスも必要で、外気温度との差を10℃以内にしたほうがよいと言われています。

④  湿度湿 40%以上70%以下

湿度の管理も重要です。気温と同じように湿度も季節によって変わります。また、雨や雪が多い地方もあります。湿度が低い冬の時期には、ウイルス性感染症が流行しやすくなります。また湿度が高すぎると、カビの発生に注意しないといけません。外気の温度や湿度は我々が変更する事は不可能ですが、外気を取り入れる事により室内の温度や湿度の調整は可能です。

⑤  一酸化炭素濃度 100万分の10以下(=10 ppm以下)

一酸化炭素濃度が高くなると、一酸化炭素中毒になります。自動車の排気ガスや暖房器具などから発生する事があります。換気をしっかり行うことで防ぐことが可能です。

⑥  浮遊粉塵 0.15 mg/m3以下

浮遊粉塵は、呼吸気道を通して人体に入り、様々な疾病を引き起こします。代表的なものとして、刺激性炎症性障害、感染症、じん肺、アレルギー鼻・気道炎(花粉症、家ダニ)などがあります。一般的なオフィスでは粉塵が発生する作業はないと思われますが、工場などでは対策が必要となります。

⑦  ホルムアルデヒド 0.1 mg/m3以下(=0.08 ppm以下)

ホルムアルデヒドはヒトの粘膜を刺激するため、目がチカチカしたり涙が出る、鼻水が出る、のどの渇き・痛みやせきなど、シックハウス症候群の原因となる代表的な化学物質です。建築後や大規模な模様替えなどの後に測定します。

以上の項目について、建築物環境衛生管理技術者は、管理する建築物の空気環境設備の性能や設定を考慮して、室内空気の調和に努めなければなりません。