マンションを適切に維持管理するために 第2回

マンション管理

2024年12月27日

マンションを適切に維持管理するために、建物・設備の基礎知識を紹介していきたいと思います。

第2回 マンションの大規模修繕工事について(建物編)

■    大規模修繕工事とは

 国土交通省のガイドラインの中に「マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するために行う修繕工事や、必要に応じて建物及び設備の性能向上を図るために行う改修工事のうち、工事内容が大規模、工事費が高額、工事期間が長期間にわたるもの等をいう」と記載されています。

大規模修繕の周期は、修繕計画に基づき12~15年位の周期で行う考えが多いようです。主な工事内容としては、躯体改修工事(外壁やタイルの補修工事)、シーリング工事、防水工事、塗装工事などがあげられます。

■    躯体改修工事

 建物の躯体は、構造を支える重要な部分で、建物全体の安定性や耐久性を担っています。躯体は経年劣化や自然災害などにより、ひび割れ・浸水・腐食などが生じます。例えば、外壁のコンクリートにひび割れ・手摺りなどの金物の根元から水が浸入し、躯体劣化に繋がります。このような問題を放置すると建物の寿命や安全性に大きな影響を与え、大きな被害をもたらす場合があります。

 改修工事を行うことで、「建物の安全性の確保」、「建物の耐久性の向上」、「建物の価値の維持と機能性の向上」が確保されます。

■    シーリング工事

 躯体打継目地や窓のサッシなどの取合い部分に行う工事のことをいい、シーリング材と呼ばれる弾力性・伸縮性があるゴムみたいなものを使用し、取合い部分から雨水の侵入を防ぎます。防水という点で重要な工事となります。

 シーリングは建物の環境によって傷み具合が変わりますが、5~10年で劣化が始まり、「ひび割れ」や「痩せ」といった現象が生じてきます。そうすると、「防水性・伸縮性」を失い、雨漏りなどの被害をもたらす場合があります。

 改修工事には、「打ち増し」と「打ち替え」の方法がありますが、建物の状況に合わせて施工方法を選択しましょう。

■    防水工事

 床面防水には「塗膜防水」、「シート防水」、「アスファルト防水」の3つに大別できます。

 「塗膜防水」とは防水機能がある塗料を塗り、防水機能を復活させる方法です。「シート防水」とは防水シートを貼ることで、雨水の侵入を防ぐ方法です。「アスファルト防水」とは防水材を塗るのと貼るのを両方行う方法です。

 耐用年数はどの工法でも10年位が目安となりますが、工事を行う目安として、「床面に雑草が生えてきた」「防水シートが剝がれてきた」「ひび割れなどの現象が見られる」などの現象が起こってきたら、専門業者に相談してみてはいかがでしょうか。

 建物が傷む最大の原因としては建物の外側ではなく、色々な隙間から侵入した雨水が、内側から建物を蝕んでいくことです。

■    塗装工事

 塗装工事を行う目的は、建物の保護やマンションの景観向上となります。塗膜が劣化し剥がれている場合、その部分から雨水などが浸入し、内部の鉄筋が腐食してしまい建物の耐久性及びマンションの景観も悪くなってしまいます。

 塗装工事を行うことで自然環境から建物を保護し、マンションの景観も回復し、マンションの資産価値の維持・向上に繋がります。

 塗装の種類によって、耐用年数に幅が生じますが、塗装箇所により何の塗装方法が適しているか、専門業者と相談して決めてみて下さい。

 外壁・鉄部塗装の施工方法は様々ありますが、下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りが基本となりますので、業者との打合せに参考としていただければと思います。

次回は「マンションの主な修繕工事について(設備編)」をお話ししようと思います。